ゲスト講師によるミッションへの提案を2年生が発表
2025年11月11日、千葉市立緑町中学校の2年生(約120名)が、総合的な学習の時間にゲスト講師ごとに出されていたミッションをテーマとしたアントレプレナーシップ教育に取り組みました(前回の記事はコチラ)。
この授業は、地域の課題を子どもたち自身がビジネスアイデアで解決することに挑戦するものです。
背景には、一方向的な職業講話から双方向的なコミュニケーションから学べるキャリア教育を目指したいという学校側の思いがあります。
学校は千葉大学アントレプレナーシップセンターの協力を得て、単元計画を作成し、実社会とつながる学びを実現しました。
この授業を通じて、子どもたちに自ら課題を発見し、創造的に解決策を考える経験を与え、チームで協力する力を育むことを目指しています。
授業の様子
単元内容と本時の生徒による発表
1コマ目(50分・2025年9月20日) ゲスト講師来訪
4名のゲスト講師が4つの教室に分かれて授業を行い、生徒は希望する講師のクラスを選んで参加しました。自己紹介(企業紹介)のあと、講師ごとに用意されたオリジナルワークに取り組みました。
2〜4コマ目(50分×3)
生徒はゲスト講師からの資料をもとに、自分の考えを整理し、グループで共有。話し合いを重ねながらスライドを作成し、発表の準備を進めました。
最終コマ(50分・2025年11月11日) ゲスト講師来訪
グループごとにゲスト講師へ向けて発表を行い、講師からコメントをいただきました。あわせて、講師による最優秀グループの選考も行われました。
2つのクラスの発表内容は以下の通り。
■テーマ:皆さまから愛される千葉駅にするための①千葉駅の理想の姿(長期)②2か月で実現可能な企画(短期)
ゲスト講師:東日本旅客鉄道株式会社 安東史洋様、吉橋農様
生徒による発表内容の例:
①千葉駅の理想の姿(長期)
- マンガ列車運行
- 千葉駅から新幹線
- ホームでアーティストのライブ
②2か月で実現可能な企画(短期)
- 駅を利用するお客様を元気にする放送
- 声優等によるアナウンス
- SNSでバズるような写真スポット
掲示物やメモ、図を用いて、自らの生活目線から「こうなったらもっと良い」という考えを具体的に示す班も多く、どのグループも創意工夫が見られる内容でした。
企業の皆さまからは、生徒の発想や視点の良さに対するコメントや、次に考えてみるとさらに深まるポイントなど、丁寧なフィードバックをいただきました。
■テーマ:好きなこと、やりたいことをして、仕事にするにはどうしたらよいかゲスト講師:神作光孝様(企業に就職しない働き方をされている)
生徒による発表内容の例:
- 運動が嫌いな人に運動を好きになってもらう仕事
- 色んなところに行きたい思いをもとにしたフリーカメラマンという仕事
東日本旅客鉄道株式会社安東様、吉橋様のコメントをする様子
神作光孝様の生徒と話す様子
株式会社Liberaware和田様のクラスで優勝したチーム
千葉エコ・エコエネルギー株式会社馬上様のクラスで優勝したチーム
参加した生徒と教員の感想
参加した生徒に、9月から取り組んできた探究授業について、感想をお聞きしました。
生徒の皆さんからは、仲間と協力しながら取り組めたことが良かったという声があり、グループ活動を通して学ぶ楽しさを感じたようです。
■授業を受けた生徒の感想
将来を見据えながら計画を立てることの重要性についても理解が深まり、
「好きなことをどのように未来につなげていくかを考えられるようになった」「自分の好きなことを改めて考えることが難しかった」
という声もありました。
日常の中では無意識に行っていたことも、"好き"と明確に言葉にする作業は容易ではなく、それだけに、生徒の皆さんにとって貴重な思考の経験となったようです。
■授業を実施した先生の感想
今回の授業の計画から実施まで進めてこられた先生にも、本講義の感想を伺いました。
先生によると、従来は「すでに世の中にある仕事」を知る授業が中心でしたが、今回は逆に生徒自身が価値を生み出す側に回るという点が特徴的だったとのことです。
そのため、生徒の反応も二極化したといいます。共通点を探しながらまとめようとする生徒と、まったく新しいジャンルへ踏み込む生徒、それぞれの個性がより鮮明に見えてきたそうです。
■授業の当日サポートに入った千葉大学院生の感想
千葉大学 融合理工学府博士前期課程1年の山口 万景さんにも、感想をもらいました。
1番印象に残ったのは、優秀賞に選ばれた
「運動が嫌いな人に運動を好きになってもらう」
をテーマにした班です。
どうしたら運動を好きになってもらえるかを、運動が嫌いな人の意見をもとに考えた発表でした。
生徒たちからは、
「どんな仕組みでお金にするのか」「運動が嫌いな人はわざわざお金を払って運動しないと思う」
など、最後まで質問が絶えず、多くの生徒が、これは仕事にはならないと思っている様子でした。
そんな中、優秀賞に選ばれた理由は、もし実現できたら1番面白いから。そのときの、生徒たちの驚いた表情が忘れられません。
こうした、試行錯誤して考えたからこそ得られる驚きや気づきが、生徒たちの視野を広げてくれるのだと感じ、あらためて今回のような機会の意義を感じることができました。
最後に
今回の取り組みを経て、生徒たちにとって「働くこと」に対してより多面的な視点を持つきっかけになりました。
これらの学びは、それぞれの"好き"を大切にしながら、自分らしい未来を思い描き、今後の学校生活や進路選択においても大きな力となると考えております。
今後も本学は、企業・高校・大学が一体となった学びの場づくりを推進してまいります。
